クジラの宝箱

絵本や児童文学など、ワクワクするものをまとめるブログです。

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子供時代に帰るブログ。絵本や児童文学を中心に、癒されるもの、ワクワクするものをご紹介します。

『ライオンと魔女』子どものころ読みたかったと心底思った物語。

映画「ナルニア国物語 第一章」の原作である『ライオンと魔女』のあらすじや対象年齢、読んでみた感想ご紹介します!

『ライオンと魔女』の対象年齢

8~10才

・推定対象年齢は、小学4・5年生以上。
・とくに映画を見たことがあると、描写をよりイメージ・理解しやすく、読書を楽しめるはず。

『ライオンと魔女』のあらすじ

4人のきょうだい、ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィは、戦争の空襲を避けるため、ロンドンから地方の古い洋館に疎開してきました。洋館はどんなに探検してもキリがないような大きな屋敷で、4人は引っ越してきたその日のうちに屋敷探検を始めました。

 

いくつもの部屋を見て回るなかで、衣装ダンスだけがぽつんと置かれている部屋を見つけました。他のきょうだいが「何もなし!」と部屋を出ていくなかで、末っ子のルーシィだけは中に掛けられた毛皮のコートが気になって、タンスの中に入っていきます。

 

すると、毛皮のコートは一列目だけでなく、二列目にまでズラリとかかっていました。さらに奥へ足を踏み入れていくと、なぜか足元には雪が積もり、その先には街燈が見えました。ルーシィは不思議に思いつつも歩みを進めると、いつのまにか、真夜中の森に立っていたのでした。

 

ルーシィが迷い込んだのは、元いた世界とは別の世界、魔女に支配された国「ナルニア」でした。

 

白い魔女の支配により、ナルニア国は永遠の冬(しかもクリスマスも来ない!)に閉じ込められていました。さらに、逆らった者は魔法で石にされてしまうため、ナルニアで暮らす動物や精霊たちは怯えながら、苦しい生活を送っていました。

 

その後、一度は洋館に帰ることができたルーシィでしたが、のちに「ナルニアの言い伝え」により、4人全員ともナルニアに導かれることになり、正義の王であるアスランというライオンと共に、魔女が率いる悪の軍隊と戦うことになります。

 

4人はナルニアを救いだし、無事に家に帰ることができるのでしょうか。

 

『ライオンと魔女』の感想・見どころ

見知らぬ土地への引っ越し、異世界への旅、正義と悪の戦い…などなど、王道的な展開が続きます。似た構成のストーリーはたくさんありますが、中でもこの『ライオンと魔女』は傑作だなあと思いました。

 

異世界に繋がる衣装ダンスやサンタクロースなどの登場人物など、子供心がくすぐられるポイントがちりばめられている上に、次々とストーリー展開されていって全く飽きが来ません。キャラクターが成長していく姿も楽しいですし、何よりファンタジックな世界観が最高です。本当に面白かったです!

 

映画だけは見たことがあるという方が多いと思いますが、ぜひ原作も読んでほしいと思いました。

 

原作はキャラクターの心理描写も丁寧に描かれていて、よりキャラクターに感情移入できると思います。難しい言葉が少し出てきたりしますが、展開が早く読みやすいので、長めの文庫に初めて挑戦するお子様にもいいと思います。

 

個人的に見どころだなあと思ったところを、ご紹介します!

 

物語のカギとなる次男「エドマンド」

次男のエドマンドは、作中、よく末っ子のルーシィにいじわるを言っています。

 

初めてのナルニア訪問から帰ったルーシィは、衣装ダンスのなかで起こった出来事をきょうだいに話しますが、みんなでタンスを確認してみても、そこにはいたって普通の衣装ダンスがあるだけ…。

 

「本当にナルニアがあった!」と訴えるルーシィを、長男ピーターと長女スーザンは優しくなだめであげますが、エドマンドはいつまでもからかってばかりいました。

 

私はエドマンドがきょうだいのなかで、「正直でなく、いい子でない子供」になっているのは、反抗期の年ごろというのもあるかもしれませんが、「中間子」という不安定な立ち位置がそうさせているような気がしました。

 

両親の代わりとなってしっかりする兄や姉がいる手前、リーダーになることもできず、かといって末っ子のように可愛がってもらえるわけでもなく…。

 

なんとなく居場所がないと感じているエドマンドは、無意識に「問題児」になって自分をアピールしているのかなと思いました。

 

自立したいという思いが芽生えつつも、年上のしっかりしたお兄ちゃんとお姉ちゃんの前でそうすることもできず、面白く思わない気持ちを年下のルーシィにぶつけていたのかもしれません。

 

さらに、そんな弱さを長男のピーターにズバリと指摘されて、ますます面白くないと思ってしまったり…。

 

 

多かれ少なかれ、こういう気持ちになったことって、誰しもあるのではないでしょうか?

 

自分が悪いことは分かっちゃいるけれど、でも、どうしても分かってほしい気持ちがある。なぜかさみしくて、それを誰かに分かってほしいのに、誰も理解してくれない孤独感。そんな周りにどうしてもイライラしてしまったり…。

 

エドマンドは(もちろん、すべての子供たちが)、根っからの悪い子というわけではないのですが、たまたまこの時期のエドマンドが、たまたま一人でいるときに魔女と出会ってしまうことで、ストーリーはドラマチックに展開していくことになります。

 

エドマンドの過ちとナルニアの代償

運悪く魔女に出会ってしまったエドマンドは、「こいつは騙しやすそうだ」と瞬時に性格を見抜かれました。

エドマンドは直感で「恐ろしい人だ」と感じつつも、いとも簡単に魔女に騙され、みんなを裏切って魔女側の味方についてしまうのです。

 

よくないと分かっていつつも、一度踏み出してしまったがために、エドマンドは自分が間違った方向に突き進んでいることをなかなか認められません。ピーターを面白く思わない気持ちや、ただ純粋に魔女からもらったプリンをもっと食べたいという気持ちも、それを後押しします。

 

(ちなみに文庫ではプリンと訳されていますが、原文や映画ではターキシュ・ディライトといわれています。)

 

そして、その過ちに、いよいよ代償が来ます。

その代償が、もっとも残酷で辛い、クライマックスのシーンに繋がるのです。

 

間違いを犯した後、エドマンドがどんな少年に変わっていくのか。

正義と悪の戦いがどんな終焉を迎えるのか。

 

ここがこの冒険の一番の見どころだと思います。

 

映画では「エドマンドのばかー!」とひやひやしましたが、文庫を読んで、ナルニアの冒険はエドマンドのためにあったのでは、とまで思ってしまいました。

 

みんなワクワクする夢のシーン

正義の王アスランのもとへ向かう、仲間のビーバー夫妻とエドマンド以外の兄弟たち。

突然エドマンドがいなくなったことに気づいたきょうだい達は、彼の裏切りに気が付きます。そして一同は魔女が追ってくることを見越して、急いでアスランの待つ石舞台へ向かうことにしました。

 

歩き続けてヘトヘトになった一同は、道中、洞穴で一休みをするのですが、外から鈴の音が聞こえてきました。魔女がやってきたと思ったビーバーさんは、ゆっくりと外に確認しにいきます。

ところが、いつまでたってもビーバーさんは戻ってきませんでした。

 

もうこれまでかと思われたそのとき、外にいたのは魔女の手先ではなく、なんと正真正銘のサンタクロースでした!

 

ここは私が一番興奮した、大好きなシーンです。
大人になってからこれを読みましたが、子供のころに読みたかったと心の底から思いました。

 

助かった安心感と、その先にいるみんなの憧れ。

「ヒーローが来た!助かった!!」という感じで大興奮でした。

 

私は小さい頃から、とにかくクリスマスの雰囲気が大好きで、本気で一緒に働きたいと思っているほど、サンタクロースにあこがれていました。朝になったらプレゼントがあることが不思議で嬉しくて、自分が物語の主人公になったような気持ちになるといいますか!

プレゼントが欲しいというよりも、プレゼントを開ける瞬間がとてもワクワクするんですよね。

 

しかもナルニアに出てくるサンタクロースは、ファンタジックな世界観が相まって、子供にプレゼントを配るおじいさんではなくて、まるで魔法使いのような「本物のサンタクロース」という感じがして、いっそうワクワクしました。

 

サンタさんは、子供たちそれぞれに合ったプレゼントをくれます。ピーターには剣を、女の子たちには身を守るための弓と短剣を渡すのですが、そのときに言った「女の子は戦いに出なくていい」というの言葉には少し時代を感じました(笑)

映画を見返しましたが、ここのセリフは「戦は醜いものだから」に変わっていて、こっちのほうがしっくりきました。

『ライオンと魔女』は、こんな人におすすめ!

退屈な描写がほとんどなく、どんどん場面が展開していくので、あっという間に読み終わってしまいました。280ページほどありますが、次が気になって、半日もせずに読み切りました。

 

長いストーリーでしたが、内容が理解できる年代なら退屈せず読み切れると思います。対象年齢より小さい子でも、一度映画を見たことある子なら読み切れるかもしれません。

 

というか、ほぼ映画のままで驚きました!

 

映画の原作を読んでみると、削られているシーンがあったり、順番がバラバラだったり、ナルニアはほぼ原作に忠実なんですね。小説では映画冒頭の空襲のシーンがなかったり、戦いのシーンが意外にあっけなかったりします。また、4人のきょうだいのそれぞれの成長が描かれていますが、エドマンドの描写が多かったです。

 

映画のほうが雰囲気や世界観はありますが、小説のほうが、よりキャラクターに感情移入できました。

・これから長めの文庫に挑戦したい小学校高学年
・異世界に迷い込む系のファンタジーが好きな方
・名作児童文学を抑えたい方
・一度映画を見たことがある方!

 

まだ小さなお子様なら、一度映画を見てから読み聞かせをしてあげると、より理解を助けてくれると思います。どうかどうか、子供のころに出会ってほしい一冊です!

今回読んだ本

作: C.S.ルイス
訳: 瀬田 貞二
出版社: 岩波書店